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  1. 小野坂貴之

わすれもの。

もしや流れにのっていないのか、とはっとする。

自分や家族の生まれた年が昭和の何年だとか、西暦何年だとか、いくつになるとか、そういうことは覚えてられるのだが、「今年が平成何年で西暦何年になる」ということにはうんと弱い。そこに干支がからむと最早ちんぷんかんぷんへと陥るのだ。

年が明けた先日の休みの日、台所の棚掃除を実施した。賞味期限の過ぎた調味料や食料を一切合切片付けてしまいたかったのだ。大きなゴミ袋を横に置き、期限日を確認してはどんどん放り込む。

なんということだ。手にするものの殆どが賞味期限を大幅に超過しているではないか。「おかげさまで健康は維持しているが、危ういところだ」などと呟きつつ、大きくなったゴミ袋の口をしっかり縛り、翌朝ゴミ捨て場へ。閑散としたものの棚は粗方片付いている。

すっきりとした気持ちのまま仕事場にいき、新しい卓上カレンダーを出して眺めて、はっとする。「あれ、2019年じゃないの?」

そうなのだ。1年間違えてしまったのだ。賞味期限内のあの子たちを無下に捨ててしまったのだ。「ああ、確認しておけばよかった」と思ったのは後の祭り。彼らはとうに、ゴミ回収車の中へ回収されてしまっただろう。

新年早々、もったいないことしてしまったと反省しながら、もしや流れにのっていないのか、とはっとする。