2月、久々の公演であった「夜を呼ぶ歌」を終え、次に向けての脚本を遅々とではあるが描き進めていた今日この頃。久々に、SPIRAL MOONの舞台出演へお誘いを受ける。SPIRAL MOONという演劇ユニットは、私がまだ上京当時の、まだ海の物とも山の物ともつかぬおぼつかない若僧の頃に、秋葉舞滝子という演出家に拾ってもらった頃からの縁である。
それまで勢いと感情だけで芝居をしていた私に「物語を伝えるために、演じることを足し算引き算で考える」と教えてくれたのは、彼女である。忍耐強く、よくもまあ鍛えてくれたものだ、と今そう感じている。
元来身勝手な私は、上京当時の思いを忘れてあちらこちらと寄り道ばかりしたのだが、彼女は演劇を愛し、自身の道をつくって真っ直ぐに進み続けた人だ。寄り道ばかりの私が、そんな彼女と再び舞台ができるなんて、と思うと、感慨深い。ああ。
さておき。この月曜日から稽古が始まった。まっすぐに静かに、そして驚きを呼ぶ稽古場は相変わらず変わっていない。
これから一ヶ月後の本番まで。みなさんへお伝えできる気づきと驚きが、さらにさらに増えて育っていることだろう。
以上の思いを、ひとまずご案内の挨拶へと変えて。
20年目のSPIRAL MOON、11月公演「みごとな女」へのご来場を、心よりお待ちしております。