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  1. 小野坂貴之

言葉にならない。

たまに、ふと気づくとしゃべりながら家事をしている。それはもう随分長く分かっていた。
随時確認の意味合いもあるので、長くそのままにしていたのだ。

ところが今日、はたと気づく。
「これはこうしとったらええかいの」「あれせないかん」「これをあれしてこうしとったらええんちゃうんか」
主語も述語も名詞も動詞ですらも、その全てが「これ」と「あれ」で構成されていたのだ。

いかん。これはもう堕落である。「あれ」と「これ」でとりあえず片付けようとしている自堕落である。

「しっかりと日本語をしゃべろう、たとえ一人でいる時も」と心に誓った今日この頃なのである。