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  1. 小野坂貴之

焼失せずに残ったもの。

朝10時に目覚ましで起こされる。寝ぼけ眼でカーテンを開ける。いい天気だ。本当にいい天気だ。かすかな気持ち良さを感じたまんま、インスタントコーヒーをとりあえず淹れてベランダに出てタバコをくわえる。

明日は朝から夜までレッスンやらバレーボールやら目一杯に予定が入っている。気分的にのんびりのどかに過ごせるのは今日1日だけだ。ゆっくりとダラダラと過ごそう。で、午後の好きな時間にちと思いついた脚本の構想なぞまとめてみよう。

ん、なんだか暑い。ん?熱い?あれ、股間が熱い?

見下ろすと部屋着スウェットが燃えていた。正確にいうと股間部分に落ちたタバコの火種がくすぶって広がって、小さな火が大きなものへ変わりそうな瞬間であった。

慌てて股間の火をはたいて消火活動。まだパンツで守られていたので大事な部分は事なきを得た。「パンツ履く派でつくづく良かった」と要らんことを考える。部屋着スウェットには黒ずんだ丸い穴が残る。

丸い穴の痕跡に「空いた時間もしっかり使え。」と誰かに言われたような気がして、ふむ、とりあえず今日も頑張ってみよう、と前向きに考えてみるのである。