ドラマが、ある。

ただニュースを見ているだけでいろんなドラマが転がっている。

まだ最近の、世間一般で思い浮かぶ記憶に新しいドラマと言えば、秋田・金足農の甲子園快進撃だったり、アジア大会での金メダル連発だったりするのだろう。

私の中でドラマというと、必ずひとつ思い浮かぶシーンがある。それは1995年ウィンブルドン女子決勝「シュテフィ・グラフ VS アランチャ・サンチェス・ビカリオ」の試合である。

私は中学生の当時からのグラフファンで、今でも週に何度もグラフの試合をYouTubeで観戦している。特にウィンブルドンの芝生コートのプレーを観るのが好きで、この1995年決勝はそれこそ何度も何度も見返している。

この試合は第1セットをサンチェス、第2セットをグラフが取り、フルセットにもつれ込む大接戦であり、特にサンチェスのサービスゲームの第11ゲームの攻防は今でも目を離すことができない。そして、約20分にも渡るそのゲームの最中、現地の実況が一言つぶやくのだ。「A Drama」と。

ウィンブルドンの荘厳たるセンターコートの芝生の上で、二人の偉大なアスリートが繰り広げる永遠とも感じられるような死闘に、ただ添えたその「A Drama」という一言の美しさは、心にぐっと突き刺さって忘れられないのだ。

さて。

唐突であるが、私は役者である。当時香川で拝命した警察官を2000年九州・沖縄サミットを経て辞職し、役者を目指して翌年に上京。都会の荒波に流され戻されしつつ、もう早18年も経過している。その間、振り返ればいろいろな出来事があったが、それを経て、やっときちんと言えるような気がしている。「私は役者である」と。

この度、私がたびたびお世話になっている、東京・下北沢で活躍するSPIRAL MOONの「短篇ドラマ劇場」に参画し、ドラマシリーズに出演、YouTubeで配信されることとなった。

「ぜひ多くの人に観てもらいたい。多くの人に楽しんでもらいたい。」という気持ちが私の中にたくさんある。と、同時に、放蕩長男をいつも見守ってくれている両親に「ワシ、元気でやっとるで」と届けたい気持ちが私の中に確かにある。ああ、四十路も随分過ぎたおっさんが、「ワシここにおるで」と手を振りたい気分でもあるのだ。

さておき。

そんな前置きは頭の片隅へ置いておいていただき、短篇ドラマ劇場「スナック赤い薔薇」第1話、ぜひご覧ください。

スナック赤い薔薇

第1話「AAL IZZ WELL」