衝撃の会話、ちょっとだけ。

朝の通勤電車。ぎゅうぎゅう詰めではなかったが、満員電車に変わりはない。ドアが開き足を踏み入れる。おばさんらしき会話の声が聞こえる。ドアが閉まりおばさんらしき声はより鮮明に大きく響くようになる。

「あの人の余命なんて分からなかったもんねー」

ギョッとして声の方をみると、おばさんというよりもおばあちゃん二人である。二人とも少しくすんだピンクと緑で髪を染めたファンキーな婆様であった。元気につり革に掴まって、楽しそうに会話をしている。夢中な様子で自分たちの声が大声だってことに頓着していないのだろう。筒抜けである。

度肝ちと抜かれたのはやはりその話の内容だ。だって全て「誰かさんにお迎えがくる話」なのだもの。しかも何だか半分悟ったような陽気さなのだもの。

年を重ねれば話題も自然と変わっていく。「やがて自分もそんな話を誰かとするときが来るんだろうか」と思いながら、盗み聞きしちゃったような若干の罪悪感と共に、イヤホンを耳に押し込んだ。